法学部に研究所を設置したいとの願望を具体化すべく、比較法研究所の創立へ向けて胎動が開始したのは昭和三十二年の夏のことであった。七月四日比較法研究所創立準備実行委員会が開催されて、創立趣意書の採択、当面の事業計画の策定、研究所仮組織の決定などが行われた。
法学部教員一同の名において作成された左の趣意書の中に、この研究所の必要性、目的、使命などが次のように明確に述べられている。
開校以来、大学とともに七十五年の歳月を送り迎えてきた法学部は、戦後、新制大学及び大学院の設置に伴う研究室の整備と教員陣容の強化に、少からぬ努力を致し、今やほぼ所期の計画を達成したのでありますが、これを充実して、日本の代表的な法科大学たらしめるためには、学部、大学院に匹敵するような研究所を設ける必要があることを痛切に感じるのであります。
申すまでもなく、研究と教育とは、唇歯輔車の関係にありまして、研究のための人員と設備とが充実強化されなくては、法学教育の進歩発達を望むことはできません。世界が狭まり、国際交通が日を逐うて盛んになるにつれ、社会生活はいよいよ複雑なものとなってまいりましたので、社会生活の規範たる法をめぐる諸間題も、広い視野に立って精深な研究を遂げることを前提として、はじめて適切な判断と処理が与えられるのであり、明治以来の伝統であった二、三の外国法を研究するにとどまる方法では、如何にも視野が狭く且つ不安でもあり、それが世界の国々との相互の理解を高め国際的緊張を緩和するために役立てられるべき法学研究の方法としては、必ずしも適当であるとは言えなくなってきました。すでに諸外国には、それぞれ特色ある比較法研究所(Institut für ausländisches und internationales Recht,Institut de droit comparé)が設けられ、その成果が大学における法学教育に精彩を放っておるのでありまして、これは多くの研究員の協働の賜であり、それが法学の謂わば「生産性向上」に偉大な貢献をしているのであります。彼等は絶えず私達に呼びかけてまいります。しかし、その度毎に、資料や人手や時間等の足らないことを嘆いてきたのでありまして、この嘆きは、法学部において、まことに宿命的なものと半ば諦めに似た不満を抱いてきましたが、七十五周年の歴史を祝おうとする今秋こそ、大学当局の英断と他学部の理解ある協力を得て、法学部の充実と発展の基礎をつくりたいと思うのであります。否、これはひとりわが法学部の充実のためだけではなく、数十に及ぶ日本の諸大学の能くしえざることを、進んで早稲田大学が成しとげて、日本の法学研究と法学教育とに、生気と光彩を与えるためであり、更に重要な目的は「世界の学問に裨補せんこと」を期した建学の精神を忠実に実行したいからであります。
本学には現在、大隈記念社会科学研究所、坪内博士記念演劇博物館、理工学研究所、鋳物研究所などがあって、関係学部の充実に著大な寄与をしており、まことに同慶の至りでありますが、法学部に「比較法研究所」が附設され、各学部がそれぞれ充実してゆくとき、綜合大学としての声価はいよいよ高まり、将来の発展を展望することもできるかと思うのであります。近年、外国人学生で本学に入学を志望する者が漸増してきましたが、その受入態勢を整備するためにも「比較法研究所」の設置は特に必要でありまして、同研究所設置の暁は、外国人学生の母国法の研究や資料の蒐集なども便利となり、国際的な共同研究を通じての相互の理解と協調も深まり、帰国後までも親善と友交とを続けることが可能となるでありましょう。
右の如く訴えた後「趣意書」は続けて、設置されるべき比較法研究所の予定される業務の輪郭および研究スタッフについて考えるところを次のように述べている。
この研究所は、以上の使命を果たすために、外国の法令や判例集、法学定期刊行物、法学に関係のある参考品、標本などの蒐集整備とその保存のための書庫及び博物館の設置、研究発表、講演、原典の邦訳、諸外国の研究所との学術上の提携、連絡、日本の法制や学者の労作を海外へ紹介する仕事などを行う予定でありまして、目下準備委員会がその具体案を検討しているところであります。なお、研究員としては、法学部において法律科目を担任する教授、助教授及び専任講師(乙種臨時講師をふくむ)が主体となり、これに関係学部の教員を加え、補助者として大学院博士課程を終了した者の中から成績と研究能力が特に優れ、且つ研究意慾の旺盛な少壮学者を選抜して参加させようと考え、これまた具体案を考究しております。
このように比較法研究所設置理由の要旨を記した上で大学当局および関係者の賛成と支持を願い、最後に、「私達は今からこの仕事に取り掛り、創立百年を祝いうる頃には相当の成果を挙げられるものと確信し、次の世代にこの光輝ある事業をうけ継いでもらえることを無上の光栄とするものであります。」と結んでいる。そして、設置後、毎年二千万円の予算計上が要請された。
右の創立趣意書を採択するとともに、創立準備実行委員会は、昭和三十二年度事業計画(事業予算三百十万円を含む)を次のように策定し、更に正式創立までの研究所仮組織を決定した。
昭和三十二年度事業計画
(ア) 研究所定款細則其他正式創立手続の進行
(イ) 研究所紀要の刊行
(i) 国内向け
(ii) 国外向け
(ウ) 研究会の開催
(エ) 資料の蒐集
(i) 法律関係資料(内外法律書式・文書等)の蒐集
(ii) 各国法令の蒐集
(iii) 其他比較法関係文献の蒐集
(オ) 海外比較法研究関係機関との連絡協力(本年度は在日各国大公使館に対する協力要請を含む)
正式創立までの間、創立準備実行委員会委員を管理委員とし、主要な事項については随時管理委員会において決定されることになった。また、事務分担の決定および十二の研究部(公法、人事法、財産法、商事法、刑事法、労働法、訴訟法、国際法、日本法、フランス法、英米法、ドイツ法)の設置ならびに各部研究主任の決定が行われた後、各研究主任の下で、速かに各部の研究組織と事業計画を立案し提出すべきことも決定された。
創立の準備作業は暑中休暇中も着々と進められ、八月一日には管理委員会が開催されて、準備の経過、特に大学当局との折衝経過の報告ならびに当面の事業打合せが行われた。更に学外の専門家の意見をも参考にするため、十月十一日には、石崎政一郎(立教大学)、内田力蔵(東京大学)、田中和夫(一橋大学)、野田良之(東京大学)、山田晟(東京大学)の各教授を招いて懇談会が開催された。
このように準備が進められていくうちに比較法研究所創立の目鼻もついてきたところから、橋頭堡を作って更に作業を具体化すべく、十一月にはいって比較法研究室が設けられる運びになった。そして、さっそく開室記念講演会が計画されて、十一月十八日に中村宗雄「裁判過程における比較法的考察」および石崎政一郎「現代法学における比較法の地位」の二講演が行われた。
更に、研究計画を実現し成果を発表していくために『紀要』の刊行が決定され、十一月にはその第一号として、水田義雄『欧米諸国の比較法研究所』が刊行された。その刊行に当り、中村宗雄管理委員会委員長は巻頭に次のような一文を寄せている。
ここに、われわれは、早稲田大学法学部比較法研究室の名において、紀要第一号を世に送る。
大学の使命が、教育と研究の両面にわたることは、改めていうまでもない。大学における専門教育は、各専門分野における研究の発展によりてのみ裏付けられるのであって、優れた大学には、優れた研究が行われる。否、優れた研究が果たされているが故に、優れた大学なのである。新たな研究分野の開拓は、その大学を特徴づけると同時に、学問の発展におけるリーダーシップが、それによって確保される。
法学についていえば、最近における国際関係の緊張と、またその緊密化とは、他国の法制の研究を、いやがうえにも必要ならしめている。しかし比較法研究というても、甚しくその間口が宏い。例えばドイツにおいては、フライブルグ大学が刑事法、フランクフルト大学が経済法、またケルン大学が労働法と、それぞれ重点を異にして、集約的な研究を実施し、それによって、各大学の研究に独自性を発揮せしめつつある。
わが早稲田大学法学部は、かつて東亜法制研究所を設置し、東南アジアにおける比較法研究に指を染めたのであるが、戦争たけなわとなる頃、遂にこの事業も廃絶の已むなき状態に立ち入ったのである。しかしわれわれは、ここに大学創立七十五周年を機とし、再び比較法研究所の創立に著手した。目下、著々その準備中である。
比較法研究には、資料の蒐集と研究成果の刊行とが、その成果を挙ぐるために欠くことをえない手段であり、また、その推進力ともなる。既にわれわれの手元には、聚集された相当量の資料があり、加えるに、それぞれの苦心になる研究報告も、ちくじに集まりつつある。近き将来において、比較法研究所の設立せられた暁においては、われわれは、許す限りの財力を傾けて、資料の蒐集はもとより、研究成果の発表・公刊に努力する心組みである。
このような抱負をもって、現在、われわれの手元に集まれる、また、集まりつつある研究報告を、継ぎ継ぎと刊行する計画を樹てている。
このようにして、比較法研究所創立へ向けて一歩一歩着実な歩みが刻まれていった。
明けて昭和三十三年二月十四日、学部長会において比較法研究所規則採択、翌十五日評議員会において同じく採択、三月三日右規則制定と進んで、いよいよ比較法研究所設立決定にこぎつけたのである。
次いで三月四日には比較法研究所第一回管理委員会が開催されて、四月一日研究所発足が報告され、また協議の結果、管理委員九名が選出された。三月九日の第二回管理委員会において、所長に中村宗雄教授を推薦することが決定され、また第一次研究員として、第一、第二法学部所属の教授十七名、助教授一名、専任講師四名の推薦決定、および助手四名を研究員会への諮問を経て推薦することが決定された。更に、三月二十一日には第一回研究員会および第三回管理委員会が開催されて、基本的組織が作り上げられた。
昭和三十三年四月一日、「早稲田大学比較法研究所」は独立の機関として正式に設立された。そして、先に制定されこの日施行された「早稲田大学比較法研究所規則」は研究所設置の趣旨を「本大学創立者大隈重信の建学の精神を体し、その創唱せる『東西文明の調和』という理想を時代に即して昂揚・実現するため」と規定し(第一条)、また、その目的を「わが国および諸外国の法制を比較研究し、大学における法学教育に資するとともに、世界の学問に裨補する」とうたっている(第二条)。
また、同日人事嘱任発令があり、所長、管理委員九名、研究員二十三名(政経学部一名)、研究所助手四名が決定した。しかし、設備は貧弱で、事務所は当初二号館(現一号館)三階法学部研究室内三号室に仮に開設され、漸く同年九月十日に一九号館(現七号館)三階三二七号室(所長室兼会議室)、三二八号室(事務所)へ移転することができた。また研究所助手に至っては、十二月になって事務所前の廊下に間仕切をした控室が用意されたに過ぎなかった。
しかしながら、多年の願望であった研究所の設立を見て、法学部教員の喜びはひとしおであり、比較法研究への努力、研究所発展への決意を新たにしたことであった。
この研究所の目的は、規則第二条に定められているように、第一に、「わが国および諸外国の法制を比較研究」し、第二に、その成果によって「大学における法学教育に資する」ことである。
ところで、右の第一目的達成のための焦点は、設立当初は、一つは、日本の法律文化を海外に紹介することにあてられ、そしてそのためには日本語ではなく外国文での出版が必須と考えられた。第二の焦点はイベロ(ラテン)・アメリカ法研究におかれた。そのねらいは、ほかの研究機関などでやられていないスペイン語国との交流をもっと深めていく必要があり、そのためにはそれらの国々の法の研究を行って、それを学生に還元することによって、ある程度学生の上にも反映させていくことにあった。これらのねらいに沿って、次に述べられるような研究組織が作られ、事業が行われた。
比較法研究室の時期から既に実質的には計画が策定され、徐々に実行に移されていたために、正式に比較法研究所として発足する時にはそれまでの体制を更に押し進めることから出発し得た。
発足後たびたび研究員会および管理委員会が開催されて、一方では、特別研究委員会の設置が決定され、他方では、アンケートに答えて各研究員から研究課題が提出された。
第一特別研究委員会
「日本の企業の近代化と諸法の発達に関する比較法学的考察」(組織担当者 大野實雄)
第二特別研究委員会
「比較法関係文献目録作成・比較法関係年表作成・国際法関係総合ビブリオグラフィの作成」(組織担当者 一又正雄・水田義雄)
第三特別研究委員会
「明治前期における家族法に関する比較法学的研究」(組織担当者 外岡茂十郎)
第四特別研究委員会
「裁判過程」に関する比較法学的研究(組織担当者 中村宗雄)
第五特別研究委員会
「中南米法制研究」(アルゼンチンの刑法翻訳を含む)(組織担当者 一又正雄・野田良之)
第六特別研究委員会
「仏法辞典の編纂準備」(準備担当者 大野實雄)
右の特別委員会は各委員会内での協議および共同連絡の後七月二十五日の管理委員会で次のように修正決定された。
比較法文献調査整理委員会(旧第二特研)
特別研究委員会 ⑴第一特研(旧第三特研)、⑵第二特研(旧第四特研)、⑶第三特研(旧第五特研)、⑷第四特研―アジア・アフリカ法制研究(一又正雄・内田力蔵)
臨時委員会(旧第六特研)
一又正雄 国際法関係総合ビブリオグラフィーの作成 ㈠条約法 ㈡海洋法
大野實雄 代理商に関する比較法的研究
楠本英隆 十九世紀におけるイギリス刑事裁判制度の研究
斉藤金作 チェコスロバキヤ、ユーゴスラビア、ギリシア各国刑法典の邦訳
杉山晴康 日本法成立についての比較法的研究
高島平蔵 現代不動産利用権の比較法的研究
外岡茂十郎 明治前期における家族法の研究
中村宗雄 一、テーマを中心とする比較法的研究、二、民事訴訟、裁判所法に関する古典的文献の蒐集、三、法体系の推移に伴う訴訟対象(訴訟の目的)並びに「裁判過程」の理論構造における変化――訴訟対象模型による比較法制的研究
野村平爾島田信義 市民法と労働法の限界点に関する比較法学的研究
野村平爾 国際労働条約違反に対する救済手続の研究
林義雄 社債権者の保護に関する比較法的研究
星川長七 印度における商事法制の研究
水田義雄 比較法関係文献目録作製の件
中村英郎 スウェーデン訴訟法典(一九四二)の邦訳
矢頭敏也 ニューサンスの比較法的研究――わが国および英米におけるニューサンスの公法上の取扱い方の比較を中心として――
葛城照三 海上保険法における英法と米法の比較法的研究
佐藤立夫 裁判官弾劾制度の比較法的研究
野田良之 スペイン法系法典及び法律文献の蒐集
西村朝日太郎 インドネシアに於ける土地慣習法の研究――特に土地所有権の発生との関連に於て――
田中和夫 英米私法における最近の動向――不法行為
内田力蔵 英米私法における最近の動向――契約法
(ア) 日本法を外国文で紹介する仕事
研究所の第一のねらいは、本稿執筆の現在においてさえ「言うは易く、行うは難し」の一典型である。しかしながらそのための努力は続けられた。その準備作業として、まず、日本文十三篇からなる『日本法制の概観』が作成された。そしてこれらの英訳が計られたが、結局、翻訳のための人と費用を得ることができず、そのうち次の三篇のみが個別に英訳され発表されたに過ぎなかった。
Mizuta,Yoshio,'The Role of Comparative Law in the Process of the Reception of Western Laws in Japan',Asian Comparative Law Review,Vol.1,Nos.1-4,(1963).
Tonooka,Mojuro,'The Development of the Family Law in Modern Japan',Hikaku-Hogaku Vol.2,No.1,p.224(1965).
Nomura,Heiji&Akio Sato,'Labor and Social Security Legislation',Hikaku-Hogaku Vol.2,No.2,p.156(1966).
右のほかに『紀要』第七号として、Nakamura,Muneo,A Comparative Study of"Judicial Process"(1959)が刊行された。また、比較法研究所の活動状況を収録するだけでなく、国内・国外における比較法研究ならびに新立法の紹介、その他の情報の提供、時事テーマに関する小論文・資料などを掲載して、比較法学に関する速報ならびに連絡誌の役割をもたらしめる目的で、昭和三十六年に『所報』Bulletinが発刊された。外国関係のものは日本語で、日本関係のものは外国語(英、独、西)で書かれた意欲的な出版物であったが、昭和三十三年第一号、昭和三十四年第二号、昭和三十五年第三・四号(早稲田大学創立八十周年記念号)まで発行したところで廃刊となった。(昭和五十六年に創刊号が発行されたWaseda Bulletin of Comparative Lawについては四の1のd参照。)
このように、外国文による成果の刊行は相当に困難なことであった。そこで最小限でも実行するために、日本文の巻末に外国文の概要を掲載する方法が採られ、これは現在まで続けられている。
(イ) イベロ・アメリカ法の研究
イベロ・アメリカ法の研究は、東京大学の野田良之教授の協力を得て、かなり熱心に続けられたけれども、研究所内に専門の研究者を持たず、また野田教授も非常勤講師を辞任されるに及んで研究の進展は望めなくなった。このころ収集された関係文献はおよそ七百タイトルあまり、それらにその後少しずつ加えられて、最近漸く大学院生でこの方面の研究に手を染める者がでてきて利用されるようになった。
(ウ) 初期五年間の刊行物
(i) 紀要
一 『欧米諸国の比較法研究所 附・世界比較法研究所関係年表』 水田義雄 昭三三・四
二 『裁判過程」(Judicial Process)に関する比較法学的研究』 中村宗雄 昭三三・六
三 『一九五六年ドイツ刑法総則草案――刑法大委員会第一読会の決議による――』 斉藤金作 昭三三・九
四 『一九五六年ドイツ刑法総則草案理由書(上)』 斉藤金作 昭三四・一
五 『一九五六年ドイツ刑法総則草案理由書(下)』 斉藤金作 昭三四・八
六 ベッターマン『独自法域としての住居法』 篠塚昭次 昭三三・一二
七 A Comparative Study of "Judicial Process"(第二号の英文版) Muneo Nakannura 昭三四・五
八 『日本弁護士前史「公事宿」の研究――公事宿編述「秘下会」の紹介――』 滝川政次郎 昭三四・一二
九 英国私会社制度の研究――特例私会社((Exempt Private Company)を中心として――』 星川長七 昭三四・一二
一〇 『各国における団結の自由――国際労働機関(ILO)・理事会「労使団体の自由に関する委員会」報告――』 中山和久 昭三五・二
一一 『インド商事法――一九三〇年インド動産売買法および一九三二年インド商事組合法――』 内田力蔵 昭三五・八
一二 ガラス『犯罪論の研究』 斉藤金作 昭三五・三
一三 『一九五九年ドイツ刑法各則草案――刑法大委員会第一読会の決議、司法省の修正による――』 斉藤金作 昭三五・四
一四 『ルイジアナ民法史序説』 土井輝生 昭三五・七
一五 『インド流通証券法』 星川長七 酒巻俊雄 昭三六・一
一六 『家族法再改正解説――日本における家族法最近の動向――』 外岡茂十郎 高野竹三郎 佐々木宏 昭三六・一二
一七 『司法に関するアメリカ各州憲法の規定』 田中和夫 昭三六・六
一八 『一九六〇年ドイツ刑法草案』 斉藤金作 昭三六・四
一九 イエシェック『比較刑法について』 斉藤金作 昭三六・五
二〇 「欧米諸国の比較法研究所』(一号改訂版) 水田義雄 昭三七・六
二一 『日本弁護士前史 二条陣屋の研究――公事宿の研究(続)――』 滝川政次郎編 昭三七・一二
(ii) 叢書
二号 『イギリス船舶保険契約論』 葛城照三 昭三七・八
三号 『二条陣屋の研究・公事宿の研究』 滝川政次郎 昭三七・一二
(iii) BULLETIN(所報)
No.1 Oct.1961
No.2 July 1962
Nos.3,4 May 1963
(iv) 『法律洋書目録・一九五八―一九七八』
(比較法研究所所蔵洋書目録)
昭和三十七年(一九六二)に至って、研究所全体について考慮すべき時期がきたと考えられて、研究所の機構、運営に係わる事項について、管理委員に法学部助教授である研究員を加えて協議が行われることになった。協議の過程で大要次のような意見が出された。
1 研究の企画については、研究員の総意に基づいて計画し、管理委員会において決定する。
2 その他の事業(成果の発表、資料の蒐集など)の遂行にあたっても研究員全員の意思を充分に取り入れて運営する。
3 具体策として次のことを実施する。
⑴ 事業およびそれに伴う業務を総務(渉外を含む)、経理、研究企画(研究会、講演会を含む)、出版編集、図書関係、の五部門に分け、各部門ごとに委員を委嘱し各部門の分担事項を担当する。
⑵ 全研究員の研究テーマを調査して次回管理委員会および研究員会において研究計画を協議する。
右の意見は、翌昭和三十八年所長交替にともない、新しい体制下において、新所長中村吉三郎法学部教授の下で具体化されることになった。研究所規則改正審議委員委嘱、管理委員業務分担の確定、各部門連絡のための幹事会設置などである。また最も重要な研究・企画については、研究所共同研究課題に「日本の近代化におよぼした外国法の影響」が採択され、従来の機関誌『紀要』にかえて『比較法学』発刊が決定された。
従来の機関誌『紀要』は随時モノグラフの形式で発行されていたが、昭和三十九年(一九六四)にこれを廃刊して、新たに年一巻二号の『比較法学』が発刊されることになり、今日に至っている。発刊に当り中村吉三郎所長は次の一文を第一巻一号に寄せている。
顧みるに、早稲田大学法学部比較法研究室の名において、紀要第一号を世に送ったのは、昭和三十二年十一月のことであった。翌三十三年四月、法学部比較法研究室は、早稲田大学比較法研究所に発展し、爾来、順調に成長して今日にいたった。その間、紀要の刊行も、すでに二十数号をかぞえるにおよんでいる。
もとより、わが研究所創立以来の高遠雄大なる構想には、聊かの揺るぎもないが、研究の進捗にともない、われらの気宇は次第にたかまり、今や、われらの比較法学は、新たに生れようとする壮大なる比較文明学の一環として、世界のあらゆる地域の、いかなる階層・階級の人たちにも、ひとしく文明をもたらすためのものと、ならんとするにいたった。よって、われらの研究の課題も成果も、自ずから従来と、やや様相をかえざるをえなくなった。
これが、今度、旧来の紀要の例を一新して、名も比較法学とあらため、世に送る所以である。
右の『比較法学』のほかに、従来刊行されていた「叢書」は引き続き刊行されて、その後次の九点が加えられた。
水田義雄監訳『ガッタリッジ・比較法学』昭和三十九年(一号)
有倉遼吉・竹内重年共訳『ルンプ・法治国における統治行為』昭和三十九年(四号)
佐藤立夫『イギリス行政訴訟法の研究』昭和四十三年(五号)
福島正夫・中村吉三郎・佐藤篤士『小野梓稿、国憲論綱・羅瑪律要』昭和四十九年(六号)
佐藤篤士『LEX XII TABULARUM 十二表法原文・邦訳および解説』昭和四十四年(七号)
入江啓四郎『開発途上国における国有化』昭和四十九年(八号)
直川誠蔵訳・解説『チッレ・社会主義比較法学』昭和五十四年(九号)
内田一郎編訳『カール・ペーテルス・西ドイツ現代刑事訴訟・刑法・行刑論文集』昭和五十五年(十号)
佐藤立夫『現代ドイツ公法学を築いた碩学たち』昭和五十七年(十一号)
更に、『早稲田大学雑誌目録――社会科学』が昭和四十一年に刊行され、和洋雑誌利用の便が計られた。
この課題について活発な研究会が開かれ、その成果は新機関誌『比較法学』誌上で公表された。内容は次の通りである。
第一巻第一号(昭三九・一一発行)
共同研究「日本の近代化におよぼした外国法の影響」(総論一)
日本の近代化ということについて 中村吉三郎
――共同研究総括への私見(共同研究における統一的見解を意味しないが)――
法史学から見た日本の近代化 佐藤篤士
日本の近代化論と憲法学 浦田賢治
行政法学から見た日本の近代化 鍋沢幸雄
――法律による行政の原理の変遷を通して――
民法学(財産法学)の立場よりみた日本の近代化 牛山積
民事訴訟の立場より見た日本の近代化 杉浦智紹
第一巻第二号(昭四〇・三発行)
共同研究「日本の近代化におよぼした外国法の影響」(総論二)
商法学の立場より見た日本の近代化 宮坂富之助
――経済立法を中心として――
わが国の近代化と外国刑事法の影響 須々木主一
――その序説としての試論――
英法および英法思想の紹介から見たわが国の「近代化」序論 佐々木信
――明治元年から明治二十三年までの翻訳を中心として――
国際法からみた日本の近代化 落合淳隆
――国家主権を中心として――
法社会学における「近代化」論 畑穣
第二巻第一号(昭四〇・一一発行)
共同研究「日本の近代化におよぼした外国法の影響」(各論一)
行政法的側面における明治近代化序説 新井隆一
「民法」財産法の形成と外国法その一 中村吉三郎
――土地法を中心とした明治初期における「民法」財産法の形成事情――
土地所有および利用関係を中心として 高島平蔵
有限会社法制の発展と外国法の影響 酒巻俊雄
労働法における近代化 中山和久
――とくに公務員労使関係法と近代化――
日本の近代化過程における対外経済取引法の変遷 土井輝生
第二巻第二号(昭四一・三発行)
共同研究「日本の近代化におよぼした外国法の影響」(各論二)
徳川時代の刑事法 杉山晴康
「民法」財産法の形成と外国法その二 中村吉三郎
――民法典編纂事情を中心として――
資本調達機構にみる株式会社法の理念と証券市場における実際 長浜洋一
――明治期を中心として――
破産制度の近代化と外国法の影響 桜井孝一
――第二次大戦前における――
第三巻第一号(昭四二・二発行)
共同研究「日本の近代化におよぼした外国法の影響」(各論三)
賃借小作権と日本の近代化 牛山積
刑法制定史にあらわれた明治維新の性格 西原春夫
――日本の近代化におよぼした外国法の影響・裏面からの考察――
第三巻第二号(昭四二・六発行)
共同研究「日本の近代化におよぼした外国法の影響」(各論四)
刑事裁判の近代化 内田一郎
――明治初期から旧刑訴まで――
第四巻第一号(昭四三・二発行)
共同研究「日本の近代化におよぼした外国法の影響」(各論五)
法の継受と社会=経済の近代化㈠ 福島正夫
日本近代化への国際的条件㈠ 大畑篤四郎
わが国におけるソビエト法研究の第一期 直川誠蔵
――アカデミズムにおける諸業績を中心として――
第四巻第二号(昭四三・八発行)
共同研究「日本の近代化におよぼした外国法の影響」(各論六)
法の継受と社会=経済の近代化㈡ 福島正夫
日本近代化への国際的条件㈡ 大畑篤四郎
第六巻第一号(昭四五・七発行)
共同研究「日本の近代化におよぼした外国法の影響」(各論七)
法の継受と社会=経済の近代化㈢ 福島正夫
日本近代化への国際的条件㈢ 大畑篤四郎
第六巻第二号(昭四六・三発行)
シンポジウム「日本の近代化におよぼした外国法の影響」(総論)
日本の近代化をいかにとらえるかに当っての「天皇」制と「家」制度 中村吉三郎
――近代化と「天皇」制――、〈補遺〉「家」とはなにか
外国法の影響とはなにか 水田義雄
――影響論解明への一つの試み――
「近代化」と近代化――法のあり方をめぐって―― 黒木三郎
討論 (司会)篠塚昭次
第七巻第一号(昭四六・九発行)
シンポジウム「日本の近代化におよぼした外国法の影響」(各論一)
株式会社の分割 大野實雄
司法制度と日本の近代化 中村英郎
第七巻第二号(昭四七・五発行)
シンポジウム「日本の近代化におよぼした外国法の影響」(各論二)
企業合同と法の課題 池島宏幸
――国家と法と経済と企業の問題――
不法行為法における故意・過失及び違法性理論の動向 牛山積
富井利安
家族法における近代化 黒木三郎
「わが国の近代化に及ぼした外国法の影響」と刑事政策 須々木主一
――共同研究に対する反省として――
共同研究「日本の近代化におよぼした外国法の影響」(各論八)
日本近代化への国際的条件㈣ 大畑篤四郎
この共同研究は昭和四十五年に計画されて、現在に至るまで続けられている。この計画中の問題領域4は、「先進国・社会主義国・発展途上国の国有化政策と法的諸問題」という課題のもとに、昭和五十年から三年間文部省科学研究費補助金の交付を受けた。
ところで、この共同研究の目的、計画などをその計画書は次のように述べている。
⑴ 研究目的
社会主義が地球上に現実のものとなってすでに五〇有余年、世界の一方の体制として確立し、経済、政治、文化の各方面における資本主義圏との交流・交渉も日ましに盛んになりつつあることは歴史の趨勢として誰しも認めるところであろう。このような一般的状況のもとにおいて両体制の比較研究、なかんずくわれわれ法学研究者にとって、両体制のもとにおける法現象の本質および構造の比較研究は、今日、理論的かつ実践的に大きな意義をもつに至っているといわなければならない。
すなわち本研究の目的は、資本主義法と社会主義法の比較法的研究を通じて、法の基本原理、構造ならびに機能の現代的特色を解明する。
この目的のもとに、われわれは、㈠異質社会体制のもとにおける法の比較はどのような方法論によらなければならないかを常に模索・反省しつつ(=比較法方法論の再検討)、㈡問題別のあるいは国別の具体的諸問題の研究を通じて、三年間の期間内に両者の共通点と相異点を総体として明らかにすることをめざしている(=個別・具体的法現象の研究と比較)。
⑵ 研究計画・方法
(昭和四六年度)
上記のように本研究の目的の基本的柱は、比較法方法論の再検討および個別・具体的法現象の研究と比較であるが、これを実現するために、われわれは、次のような具体的計画と方法を有している。
(ア) 各国法制および方法論に関する資料・文献等の蒐集・整理
国内外の同種研究所等と密接な連繫を確立し、資料等の蒐集に万全を期するとともに、網羅的な関係文献目録の作成をすすめる。
(イ) 国内外の研究者による講演会の開催
当研究機関以外の研究者にもひろく協力をあおぎ、また外国の研究者の来日の機会を利用するなどして、年間数回の講演会を予定。講演ならびに討論要旨は記録にとどめてその活用をはかる。
(ウ) 資本主義法と社会主義法の比較法方法論の検討
既存の各種の比較法方法論について、随時研究会を開き、検討を加える。
(エ) 法領域ごとの資本主義国の法制と社会主義国の法制の分析および比較
月ごとに定例の研究会を開き、個別研究の成果を発表し討論に付する。
なお、初年度の最後にそれまでの諸報告につき、中間的な総括を行い、次年度以降の研究にそなえる。
研究の成果は逐次当研究所の機関誌(『比較法学』)に発表する。
(昭和四七年度以降)
昭和四六年度研究作業の総括にもとづき、ほぼ同様の要領で作業を続行し、最後の年度には、このテーマに関して総合的なシンポジウムを開催することを計画している。(問題領域別の研究計画・方法については後出⑹参照)
⑶ 研究の特色・独創的な点
本研究に取り組む研究者は、ほとんどいわゆる資本主義国法の研究を手がけて来たものであるが、これはわが国における社会主義国法研究者の絶対数の不足からやむをえないところである。当研究所に所属する研究員・助手の中には、三名の社会主義国法研究者が含まれ、一部の特殊な研究機関を除いては、当研究所に比肩しうる研究人員を整えているところはないように思われる。
ところで、当研究に参加する大部分の資本主義国法研究者は、いわゆる資本主義国法のもつ限界性とその社会主義国法への展望を問題意識として自覚している。そのような限界性は、各担当責任部分についての個別的な研究課題の検討を通じて明らかにしていきたい。各個別的な研究担当課題は、例えば、都市問題や公害をみても明らかなように、それぞれ現在わが国においても、緊要な実践的・理論的課題をなしている。
なお、異質的な両法体制の比較には、経済的基礎構造の深い理解が絶えず伴われていなければならないと考えられるので、特に社会主義経済の研究者に多数参加してもらうよう配慮した。
⑷ 従来の研究経過・成果または準備状況
本研究所はこれまで外国法の影響を日本の近代化に関連づけて研究を進めてきた。本研究課題を設定する一つの意図は、従来の研究成果をさらに継承発展させることにもある。すなわち外国法の影響・継受論は当然に当該外国法制の歴史的発展と現状の分析を必要とし、また、いわゆる法の近代化論は、資本主義諸国法・社会主義諸国法ともに語ることのできるものであって、将来の展望をも含んでいる。この意味で本研究所の従来の研究成果は、本研究課題を追求するうえで、有効な準備作業としての側面があると考えられる。
このテーマでの研究自体は、すでに昭和四五年度から発足し、五十嵐清北大教授からは、「ドイツにおける社会主義法研究の発展と現状」及び、福島正夫研究員からは「社会主義の所有権体系と資本主義の所有権体系――その制度と思想の略分析――」と題する研究発表がなされたほか、近々大木雅夫上智大教授、清水誠都立大教授及び畑中和夫立命館大教授にもそれぞれ研究発表を依頼しており、これらの研究発表をふまえて活発な研究を進展させていく予定である。
⑸ この研究に関連する国内及び外国における研究状況
わが国においては、社会主義諸国の法と資本主義諸国の法を比較法学的見地で分析することは、すでに先年、学会において試みられている。しかしかなり限定された法領域においておこなわれたものであり、その方法論についても、十分に深められたものとはいえない状況である。
また個別研究あるいは、共同研究としての社会主義国法研究には若干のすぐれた業績が存在することは事実であるが、全般的な観点においてはなお多くを望みうるであろう。
外国(資本主義国社会主義国のいずれをも含む)においてもこのようなテーマにたいする関心は比較的近年のものといえよう。そこでは「機能的比較方法」論等有力な方法論も唱えられてはいるが、その方法論自体なお生成中といいうるのであり、さらにそれを駆使しての実証的研究となると、ごく一部の領域における成果は別として、満足できるものとはいい難い。彼地の研究に学ぶべきものは多々あるとはいえ、われわれに課せられた未開拓の分野は広大である。
⑹ 問題領域
この研究のために、具体的問題領域に対応するプロジェクト・チームが編成され研究が実施されている。具体的問題領域は次の通りである。
問題領域一 社会主義法の近年における急速な展開の結果論じられるに至った法体系の再構成を解明する。
問題領域二 分断国家間の対比、開発途上国の近代化過程に及ぼす資本主義法、社会主義法の影響を含め、両体制諸国間の家族法の比較研究を行う。
問題領域三 憲法裁判における憲法判断の方法について、西ドイツ、アメリカ及び日本の比較研究をする。
問題領域四 天然資源及び産業の国有化は、第二次大戦以来、緊要な国際的問題ならびに国内問題をひきおこしている。大別すれば、㈠社会主義国のそれ、㈡先進資本主義国のそれ、㈢開発途上国のそれとなる。最後の㈢については、一九七三年九月八日第四回非同盟諸国首脳会議の経済宣言中にも強調され、また現実においてもいくたの国際事件をひきおこしている。さらに㈠についても外資導入などで、国有化の問題を生ずる国もある。これらは、各国の社会体制の差により、その政治的、経済的性格は非常に異なるが、形式的に私的所有から国家的所有へ移行するという点では共通し、その過程で上述の差にもとづき種々の法的問題が生ずる。それには、国内法的なものと国際法的なものとがあるが、それは国内的及び国際的な諸利害の国有化による対立調整の法的反映にほかならない。
本研究は、関係主要国におけるこのような国有化政策の法的問題と政策を、理論と実態の両面から分析解明することを目的としている。
問題領域五 公害規制と経済計画の相互関連を体制的に比較検討する。
問題領域六 社会主義国家の宅地所有・管理制度は、今日資本主義国家においても有益な示唆を与え、また、地価問題や土地法の理論的検討に資する所大であるため、資本主義国と社会主義国の比較検討をする。
問題領域七 中国における人民公社の管理制度とその運用の実施を、コルホーズ制度等と対比して研究し、社会主義法の特色の解明に資する。
問題領域八 両体制諸国における資本主義法、社会主義法、ローマ法等の教育をアンケート調査によって解明する。
研究計画・方法
問題領域一 ①実定法上の研究――諸国の法令集を整備し、立法の動向を究明する。
②法理論上の研究――諸国の関係法学論文につき、法体系論(系統化論)を究明する。
③直接面会・アンケート等により各国の学者の意見を問う。
問題領域二 ①邦文及び欧文の文献目録の作成。
②代表的比較家族法学者の著書論文の収集及び研究。
問題領域三 西ドイツにおける憲法訴願とアメリカにおける憲法訴訟の実証的研究のための資料収集と研究。
問題領域四 ①関係各国及び国際機関の文献の詳細な目録作成及び収集整理。
②文献資料の収集にあたっては、外国の諸研究機関との緊密な連絡。
③在外研究員への調査依頼。
④研究員、それ以外の専門家(経済学者を含む)を招へいし、定期的に研究、討論を行う。
問題領域五 ①日本、イギリス、東ドイツ、ソビエトについて資料の収集と分析を行い、一応の仮説提示まで実行する。
②研究分担者の他、社会主義国法の研究者を含む研究活動にすでに着手している。
問題領域六 ソビエト、東ドイツの宅地配分・管理及び個人住宅の建設・管理の方法の調査・研究を行う。
問題領域七 ①人民公社の成立過程とその問題を、特に一九六三―六六年のいわゆる社会主義教育運動時期の歴史的経過について明らかにする。
②一九三〇年代におけるソ連の農業政策との比較研究を、ソ連研究者の協力を得て実施する。
③中国側文献の収集と整理分析を、本年度中に行う。
問題領域八 ①比較法学に関する教育、外国法教育、ローマ法教育等につき、海外の研究所主要大学法学部に対しアンケート調査を実施する。
②①の諸問題につき諸国への留学者の体験等を整理し、在外研究者に調査を依頼する。
③社会主義国で、なぜローマ法教育が盛んであるかを、資本主義国の場合と比較して研究する。
④各国の社会主義法教育に関する資料の収集と文献カードの作成。
昭和四十三年(一九六八)研究所は創立十周年を迎えた。当時の野村平爾所長は、『比較法学』創立十周年記念号に一文を寄せ次のように述べている。
比較法研究所が発足してからもう十年をすぎた。初代中村宗雄所長の下で、広く国際的な学術交流の糸口を開くことができた。次代中村吉三郎所長の下では、日本近代法の比較法学的研究の地道な研究に着手することができた。その間比較法学の国際的諸潮流を紹介し、日本法の外国への紹介の仕事もやってきた。そして、ようやく日本の近代から現代にわたる研究に手を染め、ある程度の成果をあげることができたのである。
しかし、国際的にみて比較法学が、単なる外国法研究の域を脱するのに苦悶しながら、独自の学問領域と存在とを示し出したように、研究所の仕事もその日をめざして一歩一歩進んでいるというところである。まだ、しかし本格的な比較法学的研究の土台づくりの域を脱していないことは、研究員一同の自認するところである。その点については藉すに時日をもってしてもらいたい。それにも拘らず、やはり十年の土台づくりは、それなりの意義を持ったといっていいし、研究面についても、資料面についても、日本における数少ない研究所として成長してきている。ここに記念号をつくり、一つの劃期にしたいと念願した。しかし、多くの研究員が大学教育問題などに忙殺され、想いながら、そして十分の研究を積まれながら、脱稿し得なかったことは残念の至りである。あえて将来への発展の期待をこめて、記念号として上梓する次第である。
またこの頃研究所の整理統合という問題が大学当局によって持ち出された。これに対して比較法研究所は現状と今後のあり方について次のような見解を示した。
⑴ 展望
創立以来一〇年のよき伝統を継承しつつ今後の発展方向をさぐるとすれば、現状における問題点の反省と大学付置研究所のあるべき姿の探究とが何よりもまずなされなければならないであろう。しかしここではこれらの問題について全面的に論ずる余裕がないので、最も重要な組織上の問題点、いわゆる研究所の独立性にしぼってのべてみたい。
本研究所の独立性は、規定の上では比研規則第一条、第五条第二項、第九条等によって根拠づけられている。
本学における法律学研究者の大部分が特定学部に集中していることの結果として、本研究所の研究員のうちの多数が同学部と兼任であるという事態が生ずることは必然的であり、より一層の積極的な参加が望まれこそすれ、そのこと自体に何らの問題もありえないことは、もとよりあきらかである。しかし、一般に研究所の任務が研究の前進、より新しい可能性の追求であり、また学問の新しい発展が固定した学部の壁はもちろん、学問領域の壁をも打破して総合的に進められるべきことを要求しているとの認識がもし正しいとするならば、そのような二重の壁を克服するという意味での研究所の独立性はさらに徹底して実現されるべきであろうと考えられる。具体的には、すべての学部に所属する研究員にたいし本研究所の管理委員に選出される可能性を与えるように制度を改善すること、法学部以外の諸学部からの研究員および研究所専任研究員・助手をさらに増員すること等は検討されてよい事項の一部ではないだろうか。
なお、本研究所では、近く比研制度検討委員会が設置されることが予定されており、そこでは上にのべた問題をふくめた諸問題が前向きに検討されるであろうことが期待されている。
⑵ 現状分析についての附属見解
⒜ ある国の法体系、法思想が他の国に如何に継受ないし受容せられ、如何に変容し、そして如何なる機能を果したか等を、それぞれの国の社会、経済的条件との関係において研究することの必要性は、ますます広く国際的にも認められている。この点は、一九六五年における当研究所研究員水田義雄氏の報告(研究所『紀要』第二〇号参照)によっても、七三研究所の存在することにもあらわれている。
その後においても社会主義諸国にこの種の研究所の設置せられるものも増加し、資本主義法体制と社会主義法体制との比較検討の必要性を新たに加えるに至っている。
⒝ 法学分野における各個人研究者は、その専攻分野の研究について、以上述べたような研究関心を持つものではあるが、⒜に述べたような研究はとうてい個人において十分に行いうるものではなく、その目的を実現するためには、経済学、史学、人類学等隣接科学者と法学者との共同且つ綜合的研究に待つべきものである。そのために共同研究、綜合研究の場としての独立の研究所の存在の意義があると言わねばならない。
⒞ ひるがえって日本の現状をみると、国立共同利用施設として東京大学附置外国法文献センター、私学においては、中央大学及び東洋大学に比較法研究所があり、今上智大学において新たに設立の計画があるときく。外国法文献センターは、主として諸外国の法令集、判例集を集め研究者の共同利用に供するものであり、共同研究の場と云うには適せず、中央大学は過去において日本法の外国への紹介及び外国法紹介の実績はあるが、途中その活動を停止し、最近その機能を復活しているように見受ける。東洋大学における研究所は一九六三年設立をみ、年一回『比較法』を編集出版している程度である。当研究所は、十分とは云えないながらも、その機能を果し、諸外国との交流も盛んであり、その存在は諸外国においても認識せられている。また、広く諸外国の法関係雑誌及び比較法的研究素材の文献を持つことにより、大学内研究者はもちろん外部の研究者の利用するものも多く、学内外の研究者の研究促進の場としてかなりの程度役立っているものと考える。
⒟ 大学教育との関係において考えるに、この種の基礎的研究は、各研究者の収穫として学生に間接的に還元せられるのみならず、公開講座、講演、大学院学生に対する研究会の公開傍聴、出版物を通じて直接的にも還元せられている。
なお留意すべき点は、比較法と称する場合、その成果は法学部にのみ還元せられる如く考える向もあるが、本大学における法学研究者は単に法学部のみに在籍するのではなく、政経学部、商学部、社会科学部にも各数名ずつあり、等しく研究員として共同研究に加わっているところから、それぞれの学部共通の研究施設の意義があり、かつその点からも各学部学生教育にも還元せられる。この点において独立研究機関として存在する意義のあるものと考える。
以上の諸点からみて、比較法研究所が本大学において存在することは、早稲田大学が「東西文化の調和」の趣旨に則り、大学創立七五周年を記念して設置せられた意義は極めて適切な試みであり、今日においても忘れられてはならないものと考える。もちろん研究所は、早稲田大学のみならず、私学共通の財政難の状態の中で設置せられているものである点に深甚の考慮を払い、その機構運営の面において最小の費用をもって最大の効果をあげ且つ所期の目的を達する如く配慮すべきことも忘れられてはならない。しかし同時に直接的学生教育の面に重点をおくことのあまり基礎的且つ学部を超えた綜合的研究の必要性を等閑視することは、将来の早稲田大学のみならず日本の科学発展の支障となるのであるから、十分にその発展について配慮されなければならないものと考える。
当研究所は、このために内部に機構検討小委員会を設け目下これについて鋭意検討を続けているところである。
右の見解は、『早稲田大学大学問題研究会第三研究部会報告別冊2』に収められているが、当時の研究所整理統合の問題は一時期のものとして消えたようである。
創立当時研究員二十六名であったものが現在(昭五十七)、専任研究員三名、兼任研究員六十四名(法学部四十八、政経学部三、商学部七、社会科学部六)、合計六十七名の多きを数えるに至っている。また、この間研究所長も、初代中村宗雄教授(昭三十三―三十八)に続き、中村吉三郎(昭三十八―四十一)、野村平爾(昭四十一―四十五)、大野實雄(昭四十五―四十七)、篠塚昭次(昭四十七―五十一)、矢頭敏也(昭五十一―五十五)、金沢理(昭五十五―)の諸教授が就任した。
創立以来行われた共同研究課題は次の十課題である(カツコ内代表者)。
⑴ 明治前期における家族法の比較法学的研究(外岡茂十郎・昭三十三―四十三)(科研費・特定研究)
⑵ 現代日本法制の体系的海外紹介に関する基本問題(中村宗雄・昭三十五―三十八)(指定課題研究)
⑶ イベロ・アメリカ法制の研究(一又正雄、野田良之・昭三十六―三十七)(科研費・機関研究)
⑷ EECにおける法律問題の研究
⑸ アジア・アフリカ法制の研究(一又正雄、内田力蔵、水田義雄・昭三十七―四十)(科研費・特定研究)
⑹ 日本の近代化におよぼした外国法の影響(野村平爾・昭三十八―四十五)(科研費・機関研究)
⑺ フランス新会社法の研究(大野實雄・昭四十三―四十四)(指定課題研究)
⑻ フランス新会社法並びに同法とEEC諸国の会社法および日本の会社法との接近に関する研究(大野實雄・昭四十五―四十七)(指定課題研究)
⑼ フランス会社法を中心とするEC諸国との会社法の比較法的研究(大野實雄・昭四十八―四十九)(指定課題研究)
⑽ ベネルックス三ヵ国会社法を中心とするEC諸国との会社法の比較法的研究(金沢理・昭五十―五十三)(指定課題研究)
右の研究の成果は、既に紹介したもののほかに、学士院賞を受けた外岡茂十郎『明治前期家族法資料』(三巻七冊、別巻四巻)、早稲田大学フランス商法研究会『註釈フランス会社法』(全五巻中二巻既刊)、同『ベルギー・ルクセンブルグ会社法』、その他、多くのものが『比較法研究所紀要』『比較法学』『早稲田法学』などの学内出版物および学外の種々の出版物に発表されている。
また現在進行中の共同研究計画は次の通りである。
⑴ EC加盟諸国の産業別金融法制に関する研究(金沢理)(特定課題研究)
⑵ 法の継承性に関する研究――資本主義法と社会主義法の間における――(直川誠蔵)(特定課題研究)
⑶ G.Köbler,Rechtsgeschichteを素材とするドイツ法に関する通史的研究(田山輝明)(特定課題研究)
⑷ 穂積陳重著 New Japanese Civil Codeの研究と翻訳(中村吉三郎)
⑸ 先進資本主義国・社会主義国・開発途上国の国有化政策と法的諸問題(宮坂富之助)(科学研究費・機関研究)
⑹ 現代イギリス法の研究(矢頭敏也)
(i) 現代イギリス法のサーヴェイ(矢頭敏也)
(ii) イギリス憲法の動態分析(浦田賢治)(特定課題研究)
⑺ 資本主義法と社会主義法の比較法的研究(篠塚昭次・⑸の課題はこの研究の一部である。)
共同研究あるいは個人的研究と関連しあるいは並行して、講演会もこれまでに百回を大きく超え、更に比較法研究所の性格上外国との交流を盛んにするために、外国人研究者による講演会も六十回あまり開かれた。次の通りである。
(ア) 研究員および国内の研究者による講演会
凡例 *印は、共同研究「日本の近代化に及ぼした外国法の影響」に関連するものであることを示す。
※印は、共同研究「資本主義法と社会主義法の比較法的研究」に関連するものであることを示す。
〔帰朝報告〕は、在外研究の成果を内容とする講演会であることを示す。
〔記念〕は、比研創立二〇周年記念講演会であることを示す。
年度 月日 氏名 テーマ
昭三二(一九五七) 一一・一八 法学部教授 中村宗雄 裁判過程についての比較法的考察
〃 立教大学教授 石崎政一郎 現代法学における比較法の地位
昭三三(一九五八) 一一・七 研究員 斉藤金作 保安処分の比較法的研究
〃 東京大学教授 野田良之 中南米法研究の必要について
一一・二九 立教大学教授 石崎政一郎 ブラッセルの学会見聞談
昭三四(一九五九) 二・二四 憲法調査会会長 高柳賢三 新憲法制定の経緯について
五・二二 東京大学教授 内田力蔵 近代イギリス法学におけるリアリスティックな傾向について
六・四―一〇 神戸大学助教授 松下輝雄 ソビエト法の基礎理論(連続講義第一回)
六・一九 研究員 中村宗雄 法と裁判
九・二五 研究員 野村平爾 中国視察談
一〇・九 研究員 外岡茂十郎 親族法改正の問題点
一一・一六 東京大学教授 福島正夫 中国法研究の問題点序説
一一・一八 本流書店主 桜井良平 中南米見聞談
一一・三〇~一二・一 神戸大学助教授 松下輝雄 ソ連邦における最近の法典編纂と法理論の動向(連続講義第二回)
一二・八 東京大学教授 伊藤正己 裁判批判――比較法的考察
昭三五(一九六〇) 六・三 東京大学教授 山田晟 東ドイツのコルホーズについて
六・二二 ラテン・アメリカ協会理事長 三浦文夫 最近の中南米事情
六・二七 研究員 西村朝日太郎 インドネシア・セイロンの民族調査の旅より帰りて――特に漁場権について――
六・二九 研究員 中村宗雄 スウェーデンの社会制度と法律制度
一〇・四 研究員 大野實雄 フランス人の生活と商慣習
昭三六(一九六一) 五・三〇 東京大学教授 内田力蔵 変動期イギリスの社会と法
一二・五 研究員 斉藤金作 スイスの行刑制度
昭三七(一九六二) 一〇・三一 北海道大学教授 宮崎孝治郎 比較法的観点からみた婚姻
一二・一三 大阪府立大学教授 風間鶴寿 イタリア民法の特色――特にその親族法及び相続法について――
一二・二二 政経学部講師 出井盛之 EECをめぐる法律問題について
昭三八(一九六三) 四・四 立教大学助教授 大木雅夫 ヨーロッパ共同体における法の淵源
六・六 東京大学教授 久保正幡 帰国談(イタリヤ)
六・一五 慶応義塾大学助教授 中谷瑾子 刑の量定と具体法
〃 同志社大学講師 土井多賀子 婦人の権利の憲法的保障
昭三九(一九六四) 四・二五 研究員 中村吉三郎 *総括――日本の近代化に及ぼした外国法の影響――
五・一六 研究員 佐藤篤士 *法史学
〃 法学部助手 島津英郷 *法理学
五・二三 研究員 中山和久 *公務員法と労働法
六・六 法学部助手 浦田賢治 *憲法
〃 比研助手 鍋沢幸雄 *行政法
六・一三 法学部助手 牛山積 *民法
〃 法学部助手 杉浦智 紹 *民事訴訟法
六・二〇 研究員 長浜洋一 *商法
〃 研究員 酒巻俊雄 *商法
〃 研究員 宮坂富之助 *商法
九・二六 研究員 須々木主一 *刑事法
〃 比研助手 落合淳隆 *国際関係
一〇・三 比研助手 佐々木信 *英法
〃 研究員 水田義雄 *外国法の影響
一〇・三一 研究員 畑穣 *法社会学と「近代化」論
〃 研究員 西原春夫 *西欧からみた日本の近代化――その将来への展望――
一一・七 研究員 金沢理 *商法
〃 研究員 中山和久 *労働法
一一・二八 東大教授 福島正夫 中国法の問題点
〃 東大助教授 藤田勇 社会主義法の問題点
昭四〇(一九六五) 六・五 研究員 佐々木宏 〔帰朝報告〕イギリスから帰って
〃 研究員 土井輝生 工業所有権の国際的保護に関する最近の問題
六・一二 研究員 新井隆一 *行政法
〃 研究員 浦田賢治 *憲法
九・一八 研究員 中村吉三郎 帰国談(中国)
九・一八 研究員 牛山積 *民法
一〇・三〇 研究員 長浜洋一 *商法(Ⅱ)
〃 研究員 酒巻俊雄 *商法(Ⅱ)
一一・六 研究員 金沢理 *商法(Ⅲ)
〃 研究員 中村吉三郎 *民法
一一・一三 研究員 桜井孝一 *民事訴訟法
一一・二七 研究員 杉山晴康 *刑事法(Ⅰ)
〃 研究員 西原春夫 *刑事法(Ⅰ)
一二・一一 研究員 内田一郎 *刑事法(Ⅱ)
〃 研究員 須々木主一 *刑事法(Ⅱ)
一二・一八 研究員 佐藤昭夫 *労働法
〃 研究員 野村平爾 帰国談(ソ連)
昭四一(一九六六) 一・二二 研究員 篠塚昭次 *民法(Ⅲ)
〃 研究員 浦田賢治 *憲法(その一)
二・五 研究員 中村英郎 *民事訴訟法
〃 研究員 中村真澄 *商法(Ⅳ)
七・二三 研究員 矢頭敏也 〔帰朝報告〕イギリス法の改革と法律委員会 Law Commission
九・二四 研究員 篠塚昭次 *民法
一〇・八 研究員 大畑篤四郎 *国際法
〃 研究員 野村平爾 *労働法
一〇・二九 法学部助手 野村稔 *民法
〃 研究員 宮坂富之助 *商法
一一・一二 研究員 金沢理 *商法
〃 研究員 中村真澄 *商法
一二・一〇 法学部助手 大須賀明 *憲法
〃 研究員 新井隆一 *行政法
昭四二(一九六七) 一・二八 研究員 浦田賢治 *憲法
〃 研究員 畑穣 *法社会学
二・四 研究員 奥島孝康 *商法
〃 研究員 内田一郎 *刑事訴訟法
五・二〇 研究員 水田義雄 比較法最近の歩み――比較法国際会議を中心として――
六・一〇 研究員 島田信義 〔帰朝報告〕ロトマールの労働契約論について――その法思想史的一考察――
六・二四 研究員 福島正夫 *旧民法における慣行慣習の問題――ボアソナード理論について――
一二・一五 立教大学教授 大木雅夫 *外国法の継受
――トルコに例をとって――
〃 都立大学教授 針生誠吉 *日本の近代化と憲法学の欠陥――ドイツ憲法学の受容と関連をも含めて――
昭四三(一九六八) 一・一九 大阪市立大学教授 甲斐道太郎 *近代的土地所有権の比較法的考察――イギリスとフランスを中心として――
六・二二 東京都立大学助教授 利谷信義 *後進資本主義国における法制度の機能――明治期における基本的人権の一問題点――
一一・九 研究員 池島宏幸 *日本における企業合同法制の展開――近代化の問題と関連して――
一一・三〇 研究員 水田義雄 *志筑忠雄訳「鎖国論について」
一二・七 研究員 福島正夫 *法と近代化
一二・一一 東京大学助教授 稲本洋之助 *プロセスとしての近代化論の問題性――甲斐道太郎教授の若干の指摘と関連して――
一二・一四 法学部助手 野村稔 *イギリスの土地登記法
昭四四(一九六九) 一・一八 東京大学名誉教授 大塚久雄 *近代化ということについて
〃 研究員 田山輝明 *ドイツ民法施行法の一考察
二・一八 研究員 横田一太郎 日本とチリとの間の経済関係
一二・二〇 研究員 宮坂富之助 *日本の近代化をとらえるための基本的視角
〃 研究員 中村吉三郎 *日本の近代化をいかにとらえるか――天皇制と「家」制度を中心に――
〃 研究員 水田義雄 外国法の影響とは何か
〃 研究員 黒木三郎 *「近代化」と近代化……法のあり方をめぐって
昭四五(一九七〇) 四・一〇 研究員 篠塚昭次 〔帰朝報告〕フランスにおける民事法の実状
〃 研究員 佐藤昭夫 〔帰朝報告〕ドイツにおける労働法学の動向
五・三〇 立教大学教授 水本浩 *土地法をめぐって
一〇・二四 北海道大学教授 五十嵐清 ※資本主義法と社会主義法の比較法的研究について
一〇・三一 研究員 福島正夫 ※社会主義の所有権体系と資本主義の所有権体系――その制度と思想の略分析――
昭四六(一九七一) 一・三〇 上智大学教授 大木雅夫 ※契約法における自由と強制
四・二四 研究員 畑穣 〔帰朝報告〕イギリスから帰って
五・二九 研究員 直川誠蔵 ソ連における比較法学への関心
六・二六 名古屋大学教授 稲子恒夫 ※ソ連における外国法、比較法、国際私法
六・二九 比研助手 西村幸次郎 楊兆竜「法律的階級性和継承性」(一九五六年)について
〃 研究員 直川誠蔵 サボー・イムレ「比較法学」(一九六三年)について
七・一五 社会科学部教授 霜田美樹雄 ネップ期におけるソビエト宗教政策
九・二五 東京都立大学教授 清水誠 ※ドイツ民主共和国における法制度の生成と発展
一二・一一 研究員 大畑篤四郎 〔帰朝報告〕①米英における日本研究について、②欧米ならびにアジアにおける外交資料の状況について
〃 研究員 鈴木重勝 〔帰朝報告〕①ドイツにおける裁判公開原則の発展、②ドイツ法学・私がみるに、③私のいたドイツの町と生活
昭四七(一九七二) 六・三 前商学部教授 平竹伝三 ※ソ連邦一般論――特に現代ソ連の経済的動向をめぐって――
七・一五 研究員牛山積 ストックホルム環境会議から帰って
〃 研究員 福島正夫 ※人民民主主義革命と法
九・三〇 社研教授 粟飯原稔 ※ソ連工業セクターにおける経済効率
一一・一八 研究員 鈴木重勝 ドイツにおける裁判公開原則の発展
〃 研究員 宮坂富之助 〔帰朝報告〕イギリスにおける経済法制の動向
一二・九 研究員 入江啓四郎 ※社会主義諸国の国有化と国際法上の問題
一二・九 政経学部教授 安藤彦太郎 ※中国における人民公社管理の問題について
昭四八(一九七三) 一・一三 研究員 中村吉三郎
研究員 福島正夫
研究員 佐藤篤士
}小野梓稿「国憲論綱・羅瑪律要」の復刊にあたって(共同報告)
二・一七 研究員 三木妙子 非嫡出子の地位と「法の平等保護」――アメリカ連邦最高裁判所の一判決を中心として――
〃 比研助手 西村幸次郎 官僚資本の没収と民族資本の保護育成――中国における国有化の一側面――
七・一四 研究員 田山輝明 西ドイツ民法典における用益賃貸借規定の改正準備の現況――小作法の廃止――
一〇・二七 研究員 佐藤英善 地域開発と法――地域開発の公法的手段を中心に――
一一・一七 研究員 須々木主一 保護観察の背景(イギリスの更正保護を中心として)
一二・一 研究員 福島正夫 ※朝鮮社会主義法の特質
昭四九(一九七四) 一・一九 研究員 黒木三郎 北朝鮮の新憲法について
一〇・八 研究員 内田一郎 〔帰朝報告〕在外研究をおえて
一一・三〇 立教大学教授 宮川澄 中国の社会主義建設の現状と法について
一二・三 研究員 新井隆一 〔帰朝報告〕ドイツにおける私の行政法研究
〃 研究員 池島宏幸 〔帰朝報告〕見たままのイギリス経済と法をめぐる状況
昭五〇(一九七五) 七・一 研究員 中山和久 公務労使関係法の新展開――世界の動向をさぐる――
〃 研究員 黒木三郎 民主主義発展における法と法律家の役割――IADL第一〇回大会に出席して――
昭五一(一九七六) 六・八 研究員 直川誠蔵 〔帰朝報告〕ソ連、東欧諸国の比較法研究
〃 研究員 酒巻俊雄 〔帰朝報告〕イギリスのEC加盟と会社法への影響
一一・九 研究員 佐藤篤士 〔帰朝報告〕イタリア・ハンガリーにおけるローマ法教育
昭五二(一九七七) 七・五 研究員 田山輝明 〔帰朝報告〕ゲッチンゲンで見聞した法学教育の一側面
〃 研究員 三木妙子 〔帰朝報告〕イギリス親子法における最近の動向
一二・六 研究員 直川誠蔵
研究員 早川弘道
}ソ連新憲法について(共同報告)
昭五三(一九七八) 一・三一 研究員 田山輝明 西ドイツの農地相続法制――最近の法改正を中心として――
五・三〇 学習院大学教授 野田良之 〔記念〕比較法文化論の一つの試み
〃 慶応義塾大学教授 宮沢浩一 〔記念〕私の比較刑法論――比較刑法のための資料収集について――
六・二一 上智大学教授 大木雅夫 〔記念〕現代比較法学の動向――KonvergenzとDivergenzに関連して――
〃 研究員 直川誠蔵 〔記念〕ソ連における比較法学・その後――A・チッレの所説を中心に――
一〇・二八 研究員 佐藤英善 〔帰朝報告〕西ドイツ行政法の動向
〃 研究員 黒木三郎 〔帰朝報告〕滞英一年
一一・一〇 研究員 土井輝生 〔記念〕私と外国法研究
〃 研究員 矢頭敏也 〔記念〕私と外国法研究
一一・二五 研究員 黒木三郎 〔記念〕私と外国法研究
一一・二五 早大名誉教授 水田義雄 〔記念〕現代イギリス法改革理解についての一つの提案――私と外国法研究――
一一・二八 元早大客員教授 福島正夫 〔記念〕穂積陳重の比較法と社会主義法研究
一二・二 研究員 佐藤篤士 〔記念〕私のローマ法研究
〃 早大名誉教授 大野實雄 〔記念〕私と外国法研究――フランス商法研究会のことども――
一二・四 研究員 中村英郎 〔記念〕私と外国法研究
〃 研究員 中山和久 〔記念〕私と外国法研究
一二・五 研究員 西原春夫 〔記念〕私と外国法研究
〃 研究員 篠塚昭次 〔記念〕私と外国法研究
昭五四(一九七九) 一・一七 研究員 西村幸次郎 〔記念〕私と外国法研究
五・八 研究員 奥島孝康 〔帰朝報告〕フランス商法学界の現状
昭五五(一九八〇) 四・七 研究員 浦田賢治 〔帰朝報告)イギリスから帰って
五・一五 研究員 西村幸次郎 〔帰朝報告〕イギリスでの一年
六・二一 研究員 浦川道太郎 〔帰朝報告〕イエーリングに学んだワセダマン――ボアソナード民法相続規定に対する一つの同時代的批判――
〃 研究員 鎌田薫 〔帰朝報告〕フランスにおける不動産取引と公証人の役割――フランス法主義の理解のために――
昭五六(一九八一) 六・二四 研究員 篠塚昭次 ヨーロッパにおける現代法の転換――都市と住宅に関する国際シンポジウムをふりかえって――
一二・五 名古屋大学教授 稲子恒夫 社会主義諸国における法の「継承」
昭五七(一九八二) 四・六 研究員 中山和久 日本の労働者の権利について
名古屋大学助教授 森英樹 日本における公務員の労働基本権
金沢大学教授 小川政亮 社会保障権の観点からみた日本社会保障法の特質と傾向
(イ) 外国人による講演会
年度 月日 氏名 テーマ
一九五九(昭三四) 六・二三 日米交流計画研究員 Timothy I.Williams 日米司法試験、法学教育、国際通商、弁護士制度
六・二四 ハーバード大学教授 Robert Braucher アメリカ商法の近代化
一九六〇(昭三五) 二・二七 トルヒリオ大学教授 Ernst Zierer Bloss 今日のペルーにおける諸問題
四・二六 ケルン大学教授航空法研究所長 Alex Meyer 最近のドイツ航空法について
五・二五 国際連合東京広報センター所長 V.J.G.Stavridi 国際連合と比較法研究事業
五・二六 ドイツ法哲学者故ラードブルッフ教授夫人 Lydia Radbruch 人間ラードブルッフを語る
一〇・四 フライブルク大学教授 Kurt Mantel ドイツ森林法並びに刑事訴訟法の特殊性
一九六二(昭三七) 六・二二 カリフオルニア大学教授 Addison Mueller アメリカにおける知的創作物の法的保護
九・一四 アメリカ映画協会・顧問弁護士 Edward A.Sargoy 映画フィルムの製作・配給に関する米国著作権法の発展と適用
一九六三(昭三八) 一二・五 中国学術代表団 張友漁 中華人民共和国の法律制度とその発展
一九六四(昭三九) 一二・八 中国法律家代表団 韓幽桐(他四名) 中国の裁判制度について
一九六五(昭四〇) 三・二九 ザールブルッケン大学教授 Arthur Kaufmann 目的的行為論について――とくに過失犯を顧慮して――
九・三 フライブルク大学総長 Hans-Heinrich Jescheck 比較法の課題と方法
九・二四 公務員インターSPI書記長 Paul Toffan 公務員制度と公務員労働基本権
九・二七 カルロス大学法学部社会保障主任 Igor Tomes 日本およびチェコスロバキアにおける労働法、社会保障法の比較研究
一九六六(昭四一) 一〇・六 ミュンスター大学教授 Andreas Heldrich 胎児の権利保護
一九六七(昭四二) 四・一九 チュービンゲン大学教授 Hans Göppinger 経験科学としての刑事学の地位
一九六八(昭四三) 五・一 パリ大学教授 Jean Hémard 運送人の民事責任について
一〇・七 西ドイツ行政科学大学教授 Carl Hermann UIe ドイツ憲法裁判権の範囲と限界
一九六九(昭四四) 五・八 ソ連科学アカデミー アジア諸民族研究所日本部長 И.A.Латышев(I.A.Latyshev) ソ連における日本研究
一九七二(昭四七) 一〇・一三 ハイデルベルク大学教授 Carl Hermann Ule 環境保護法における義務づけ訴訟
一九七三(昭四八) 三・二三 フランクフルト大学教授 Hans Leo Weyers 西ドイツにおける交通事故損害をめぐる法的諸問題――現状と展開――
七・七 マールブルク大学法学部助手 Roland Bahr 西ドイツにおける大学法曹教育の改革について
一〇・二七 ミュンヘン大学正教授 比較法研究所長 Andreas Heldrich 立法措置による社会形成の可能性と限界
一一・一七 ユニオン・カレッジ准教授 William J.Daniels ニクソン・コート
一九七四(昭四九) 一・一九 いわき短期大学教授 李丙洙 北朝鮮および北ベトナムの家族法について――アメリカにおける最近の研究紹介をかねて――
一〇・八 オックスフオード大学教授 H.W.R.Wade 民主国家における行政的正義
一一・一四 イェール大学教授 Thomas I.Emerson 現代における知る権利
一二・七 大韓民国・中央大学教授、西ドイツ・マックスプランク外国・国際刑法研究所員 鄭鐘勗 目的的行為論の起源とその哲学的基礎
一九七五(昭五〇) 六・九 ウィスコンシン大学教授 James B.Macdonald 土地利用規制と市民訴訟――アメリカにおける政策決定への市民参加を含めて――
〃 婦人有権者同盟理事 Betty N.Macdonald 都市計画と政策決定への市民参加
七・八 コーネル大学教授 David J.Danelski ニクソン・コート
九・一七 ライデン大学教授 R.Feenstra J・E・グヅミ(Goudsmit)の時代のライデン大学の法律学
〃 英国王室法律協会顧問 Gorden Slynn イギリスにおける法律教育および法律改革
九・二七 ブダベスト大学法学部助教授 Kallay Istvan 戦後ハンガリー法の歴史について
一〇・七 アウグスブルク大学教授 Joachim Herlmann ドイツ刑事訴訟における公判手続と改正の必要性
〃 ルーマニア・クルージュ大学教授 Aurelian Ionascu 社会主義国家における土地の所有と利用
一〇・一五 パリ大学教授 G.Lyon Caen 労働紛争における司法の役割
一九七六(昭五一) 四・九 ロンドン大学(LSE) Olive M.Stone イギリス家族法の最近の動向について
五・一九 パリ控訴院付弁護士 Rolland Weyl ※資本主義法と社会主義法の比較に関する考察
九・一八 フライブルク大学教授 Günther Kaiser 刑事政策の方法
九・二八 ザールラント大学教授 Wilhelm Karl Geck ドイツ連邦共和国における法曹教育の改革
一一・三〇 アメリカ合衆国弁護士 Carl E.Anduri Jr. アメリカ合衆国における公判前の拘禁及び保釈
一九七七(昭五二) 五・三一 モスクワ大学教授 Ъ.A.Куринов(B.A.Kurinov) ソビエト刑法の基本的特色
一九七八(昭五三) 三・七 国際司法裁判所判事 ワルシャワ大学教授 Manfred Lachs 国際法における国有化の諸問題
四・四 ロンドン大学教授 Lord Lloyd of Hampstead イギリスのBill of Rightsについて
六・六 高麗大学校教授 崔達坤 韓国家族法の一部改正について
九・六 ザール大学教授 Heinz Müller-Dietz 刑法解釈学と行刑学―接点・共通性と相違―
一〇・一二 チューリッヒ大学講師 Harro von Senger 中華人民共和国法系の構造
一一・二四 シェフィールド大学講師 Martin Collick イギリスの高等教育制度
一九七九(昭五四) 五・三〇 ドイツ連邦共和国・科学アカデミー会員・中央哲 学研究所長教授 Hermann Klenner 資本主義・社会主義と人権
一〇・一二 レーゲンスブルク大学教授 Karl Firshing 改正民事訴訟法施行の状況と問題点
一〇・二三 カリフオルニア大学教授 Leo Kanowitz アメリカにおける婦人労働者の保護と平等
一一・八 バイロイト大学教授 Wolfgang Gitter ドイツ連邦共和国における社会法の法典化――新社会法典の成立について――
一一・二一 ソ連科学アカデミー国家・法研究所憲法部長教授 Ъ.Н.Топорнин(B.N.Topornin) ソ連新憲法の基本的特徴
一九八〇(昭五五) 一・一六 チューリッヒ大学教授M.Rehbinder 遺伝子組成の法律問題
九・一九 ポーランド科学アカデミー法学研究所教授 Barbara Zawadzka 社会主義諸国における代表制のモデル
一〇・八 ゲッチンゲン大学教授 Erwin Deutsch 医師の治療上の特権
一〇・二三 キール大学講師 Karl Blomeyer ドイツの新しい旅行契約法について
一一・一二 西ドイツ連邦裁判所判事 Hartmuth Horstkotte 西ドイツにおける刑法改正
一九八一(昭五六) 五・二一 アメリカ・ミドバレー・ロースクール客員教授 Morris D.Forkosch ポルノとモラルと裁判
六・一二 中国社会科学院法学研究所副所長 韓幽桐 中国訪日法学者代表団をかこんで――現代法制史、法学教育、研究の現状――
六・一五 カリフオルニア大学バークレイ・ロースクール教授 Sho Sato 米国カリフォルニアにおける諸問題――水、大学、法学校等――
一〇・一四 ゲッチンゲン大学教授 Erwin Deutsch ドイツにおける契約法改革の動向――医療契約を中心として――
一一・一九 アイルランド共和国駐日大使館一等書記官 Peter Smith 司法審査――アイルランドを中心に――
一九八二(昭五七) 三・一二 ゲッチンゲン大学助教授 Wolfgang Winkler 西ドイツにおける農業相続法
四・六 ソ連科学アカデミー国家・法研究所上級研究員 B.C.Шевцов(V.S.Shevtsov) 労働者・職員の社会=経済的権利
研究員 中山和久 日本の労働者の権利について
名古屋大学助教授 森英樹 日本における公務員の労働基本権
金沢大学教授 小川政亮 社会保障権の観点からみた日本社会保障法の特質と傾向
五・二〇 フライブルク大学教授 Peter Arens 民事訴訟法体系における証明妨害について
年度 月日 氏名
一九五八(昭三三) 一〇・二四 ドミニカ大使Leonte Guzmán Sánchez氏
ベネズエラ大使Carlos Rodriguez Jiménez民
コロンビア代理大使Pedronel Giraldo Londoño氏
パナマ代理公使Ricardo L.Martínez Hauradou氏
夫妻、中南米大公使招待会に出席のため
一九五九(昭三四) 六・二三 日米法学交流計画交換研究員Timothy I.Williams氏。研究座談会開催
六・二九 オックスフォード大学A.L.Goodhart教授
一〇・三 プリンストン大学国際研究センター研究員Percey E.Corbett教授夫妻
一一・二二 メキシコ大使Alfonso Castro Valle氏
一二・一七 アメリカ大使館一等書記官Arnold Fraleigh氏
一九六〇(昭三五) 二・一 オーストラリア代理大使Reginal dThomas氏
二・二七 ペルー・トルヒリヨ大学Ernst Z.Bloss教授
大学院会議室でイベロ・アメリカ法専攻の学生に講義
三・七元日仏会館長Joüon des Longrais氏。交歓懇談座談会開催
三・一一 インドネシア大学社会経済研究所長Mohammad Sadli氏
スタンフォード大学図書館長レイナード・C・スヴァンク氏
四・一三 日米財産委員会スウェーデン代表Torsten Salén判事、大使館C.G.Craioord一等書記官
四・二六 ケルン大学航空法研究所長Alex Meyer教授。研究セミナー開催(於大学院会議室)
五・二五 国際連合東京広報センター所長V.J.G.Stavridi氏。研究セミナー開催(於校友会館)
五・二六 Lydia Radbruch夫人。研究座談会開催(於大学院会議室)
一二・二六 日蘭財産委員会オランダ代表J.H.W.Verzjil博士
一九六一(昭三六) 二・一〇 日米法学交流委員会事務局Richard W.Rabinowitz,T.Williams両氏。懇談会開催
(於校友会館)
三・二四 カリフォルニア大学Richar dW.Jennings教授夫妻
四・一九 アジア財団日本代表James L.Stewart氏
五・二三 シカゴ大学比較法研究所センター所長Max Rheinstein教授。座談会開催(於校友会館)
八・二二 モスクワ大学法学部A.И.Денисов(A.I.Denisov)教授(ソビエト閣僚会議法律委員会議長)
九・二一 アジア法律会議インド代表C.B.Agarwala氏
九・二二 スペイン大使館三等書記官Vicente Ramírez-Montesinos y Prénez氏
一〇・一二 コロンビア大学総長代理G.V.Cooper氏、ヘラルド・トリビューン紙顧問弁護士
Douglas E.Hamilton氏両夫妻。懇談会開催(於校友会館)
一一・二一 インドネシア地方行政専門学校Koensoebekti講師
一二・八 カーネギー国際平和基金専務理事Francis Deak氏
一九六二(昭三七) 一・二九 スタンフォード大学日本研究センター所長Kurt Steiner教授。懇談会開催(於本部会議室)
一・三一 米国仲裁協会副会長Martin Domke博士夫妻ならびに日本国際商事仲裁協会理事倉田寛吉氏。懇談会開催(於校友会館)
三・二九 ソウル大学校法科大学長、司法大学院長 劉基天教授
四・一六 国際法律家協会事務総長Sir Leslie Munro氏。懇談会開催(於校友会館)
五・一一 サウザン・テキサス大学Harry E.Gloves教授
五・一四 オハイオ州マリエッタ・カレッジRobert J.Taylor教授
五・二一 ベトナム比較法研究所事務局長Ngô Bá Thánh博士。懇談会開催(於校友会館)
五・二五 フルブライト派遣教員(京都大学)アマースト大学Karl Loewenstein教授。懇談会開催(於本部新会議室)
六・二二 カリフォルニア大学Addison Mueller教授。講演会開催(小野記念講堂)
六・二六 インド最高裁判所長官B.P.Sinha氏およびインド大使Lalji-Mehrotra氏
七・六 アジア財団在日代表James L.Stewart氏
七・一〇 法律図書出版社Paul Rothman氏
九・一四 米国映画協会顧問弁護士Edward A.Sargoy氏
九・一八 デリー大学、インド法律研究所助手P.B.Mathur氏
一〇・二七 ハーバード大学派遣員Harvey Applebaum氏
一九六三(昭三八) 二・二八 ウルグァイ・モンテビデオ大学教授、ユネスコ国内委員会委員Aníbal del Campo氏
三・二九 アジア財団本部図書計画担当者Carlton Lowenberg氏
一九六四(昭三九) 六・二二 カリフォルニア大学Addison Mueller教授
八・二一 オズグッド・ロー・スクールならびにカナダ比較法協会J.G.Castel氏
一二・八 中国法律家代表団
団長 韓幽桐 中国政治法律学会書記処書記、中国科学院法学研究所副所長
団員 王良 中国政治法律学会理事
〃 高桐 中国政治法律学会理事、上海市高級人民法院副院長
〃 徐鶴皐 中国科学院法学研究所助理研究員
〃 周斌 「人民中国」編輯部編輯
一九六五(昭四〇) 三・二九 ザールブリュッケン大学Arthur Kaufmann教授
六・一五 ソウル大学校法科大学、ソウル大学校司法大学院 崔鐘吉教授
九・三 フライブルク大学総長、外国・国際刑法研究所長Hans-Heinrich Jescheck教授
九・二七 チェコスロバキア・カルロス大学Igor Tomes教授
一九六六(昭四一) 五・一九 ソウル大学校 金箕斗教授、権泰埈専任講師他一名
六・二一 ペルー、元国際司法裁判所判事Haya de la Torre氏
一〇・六 ミュンスター大学Andreas Heldrich教授
一〇・一〇 ソウル大学校法科大学長 劉基天教授
一九六七(昭四二) 一・一三 ソウル大学校法学研究所長 李漢基教授
三・七 インドネシア大学犯罪学研究所主任 マルジョノ・レクソディプトル氏他一名
四・一九 チュービンゲン大学Hans Göppinger教授夫妻
一一・二八 バンドン・パジャシャラン大学Bugi Supeho講師他一名
一二・二 ソウル大学校商科大学長 崔文煥教授
一九六八(昭四三) 五・一 パリ大学Jean Hémard教授
一〇・七 西ドイツ・行政科学大学長Carl Hermann Ule教授
一九六九(昭四四) 二・五 ペルー・アカデミー会員Dr.E.Nuñez氏
一〇・二四 ワルシャワ大学Marian Weralski教授
一一・六 ソ連国際関係大学Г.П.3aдopoЖHЬІЙ(G.P.Zadorozhnyi)教授
一九七一(昭四六) 五・一五 スタンフォード大学客員教授D.A.Loeber氏
七・二三 キール大学 金淵洙助教授
一九七二(昭四七) 四・一五 ローザンヌ大学比較法律研究所 王泰銓氏
一九七五(昭五〇) 一〇・七 ルーマニア大使館二等書記官Alexandr Juacobescu氏
一九七六(昭五一) 八・二〇 英国カーディフ・ユニヴァーシティ・カレッジL.A.Sheridan教授
一九七七(昭五二) 三・三 ウィーン大学法学部Manfred Machold教授
一九七八(昭五三) 二・一五 フランス大使館Louis Dauge大使
二・一六 メキシコ総領事館Jorge Mario Magallón領事代理
四・四 中国社会科学院代表団団員 張友漁 中国社会科学院法学研究所顧問
〃 王叔文 〃 国家法研究室主任
その他
一九七九(昭五四) 四・四 于光遠氏を団長とする中国社会科学院一行一〇名
五・一七 フライブルク大学法学部Oleg de Lousanoff助手
一〇・一三 ミュンヘン大学C.Roxin教授
一九八〇(昭五五) 五・一三 ベオグラード大学Živojin Aleksić教授
五・二八
六・二五
}チェコスロバキア大使館三等書記官Vladimír Gelbič氏
一〇・二 ケルン大学G.Baumgärtel教授
一九八一(昭五六) 一・四 高麗大学校 崔達坤教授
一〇・七 ルーマニア大使館二等書記官Alexandru Jacobescu氏
一一・一九 于光遠氏を団長とする中国社会科学院一行九名
出版物には、既に紹介した、『紀要』二十点、「叢書」十一点、『所報』(Bulletin)三点、のほかに、『比較法学』十六巻、創立二十周年記念講演集『比較法と外国法(付、資料・比較法研究所二十年のあゆみ)』、『比較法研究所・洋書目録・一九五八―一九七八』、などがある。
右の出版物のほかに、日本の法と法学を外国へ紹介するために新しい外国文年報Waseda Bulletin of Comparative Lawが昭和五十六年(一九八一)に創刊された。小論文、立法、判例、学会動向、書評などがすべて外国語(主として英語)で掲載される。
これらの出版物のうち、機関誌『比較法学』および外国文年報は、国内の諸機関の外、次の諸外国へ送られている。
第八十一表 Waseda Bulletin of Comparative Law 発送国地域別表(昭和五十七年現在)
研究所の大きな業務に図書資料の収集がある。昭和五十六年度末所蔵するものは、次の通りである。
図書 洋書二一八九四冊、和書二五二七冊
雑誌 洋雑誌 五四三種一一九五三冊
和雑誌 一五六種二〇六一冊(それぞれ製本済冊数)
(洋雑誌の整備は研究所の主目標の一つである。)
ほかに、マイクロフィルム、マイクロフィッシュ若干があるが、将来はこれらが増加することになろう。
研究所の運営は、所長および管理委員四十八名によって行われ、管理委員は、総務、研究・企画、出版・編集、図書・資料、経理、年報編集、拡大総務、比研史編集の各委員会に参加して業務を分担する。更に、事務長以下九名の職員によって事務が行われている。
将来の展望は、既に紹介した「研究所の現状と今後のあり方について」(昭和四十五年『大問研3研報告別冊2』所収)の中の「展望」および「現状分析についての付属見解」に述べられているものと基本的には変らないといえる。加えるとすれば、昭和五十二年十一月に早稲田大学創立百周年記念事業計画委員会委員長(総長)宛に提出された「記念事業および発展計画」を挙げることになる。それには次のように述べられている。
早大創立百周年を迎えるに当り、当研究所は従来の研究活動を一層充実させるとともに、以下のような記念事業および重点的発展計画を考えている。
一、記念事業
わが国は、伝統的に外国の思想・制度・文物の移入には甚だ熱心であったが、他面、国内の実状・業績をひろく海外に伝えるという仕事においては一般にそれほど大きな成果をあげてきたとは言い難い。大隈侯の創唱された「東西文明の調和」との理想も実はこの点を衝いていたのであり、わが国の主体的立場に立った、ことばの真の意味での「交流」が実現されなければならない。
以上のような基本的構想にもとづいて、従来外国語で発表された日本法制・法思想等にかんする世界の諸文献(法令の翻訳を含む)を網羅的に蒐集・整理し、内外研究者の利用の便に供するとともに、以下の発展計画の基礎としたい。
二、発展計画
⑴ 法制・法思想は時とともに変化・発展するものであるから、当研究所において外国語を用いて編集した専門的な定期刊行物を刊行する。
⑵ 外国の同種研究所との提携の強化
当研究所は諸外国の比較法研究所等との資料交換をすでに行なっているが、一歩進めていくつかの特定の研究所等との提携を強化し、スタッフの交流・共同研究の実施にまで持って行きたい。またこのような交流等を通じて、当研究所の所蔵する比較法学専門文献をより充実・完備させる。
⑶ 教育機能の拡充
当研究所はこれまでも「公開講演会」などを通じて研究成果の還元に努めてきたが、今後学部・大学院に設置されていない特殊な講座を正規に設置し、ますます多様化する学生・院生の関心に答えるとともに、日本の法文化を外国語で世界に紹介しうる広い視野と能力をそなえた人材の育成に資する。
三
これらの目論見を実現するためには、当研究所の現有スタッフおよび現在の財政基盤では到底不十分であるので、この点大学当局および百周年記念事業計画委員会の特段の御配慮をお願いしたい。
右の発展計画とも関連して、昭和五十六年十月の「研究条件の改善に関する比較法研究所の計画および要望」の中に次のような要望が含まれている。
一、比較法研究所施設の現状(⑴、⑵省略)
⑶ 研究室(共同研究室を含む)
現在三名の専任研究員は、それぞれ、一研究室を利用しているが、一名でも増員した場合は直ちに一人一研究室を維持することができなくなる。
当研究所において連続講義・講演をしたり、当研究所の研究員と共同研究を希望したり、あるいは日本法研究等を望んで滞在する外国人研究者のために研究室を提供することができない。「諸外国の同種研究所との提携」「スタッフの交流・共同研究の実施」という発展計画(昭和五十二年十一月三十日提出)は、施設面でその基盤を欠いているといわざるをえない。
なお、講演会・共同研究会の開催に当っては、法学部会議室を借用している現状である。
二、基本的改善策
上に述べた当研究所の施設の現状を打開するために、広大な施設内に学内法律関係図書を集合的に収蔵することを要望する。学内法律研究者の研究室に近接する場所であるところから、新中央図書館が設置されたのちの現大学図書館の一部(三層)がその目的のためにふさわしいものと考える。
このようにして書庫・閲覧室その他の問題が解決されるなら、当研究所は、現施設内に研究室を増設し、また、研究会のための共同研究室を設け、研究所本来の機能を十分に発揮することができるであろう。
これまで見てきたように、決して長いとは言えない比較法研究所二十五年の歴史の中にも幾つかの変遷があった。初期五年の草創期を経た後、本格的に日本法と外国法との関連をもう一度自分の研究領域にとらえ直してみようという新しい傾向が生じてきた。そのメリットは法学研究の上における大きなプラスとなったことである。その具体的あらわれが前述の研究所共同研究「日本の近代化におよぼした外国法の影響」であった。もう一つの新しい傾向としては、第二次世界大戦後勃興してくる新興国あるいは発展途上国との交流を深める必要から、それらの国々の研究を行って、それを学生に還元することによって学生の上にも反映させていく、ということがある。創立当初のイベロ・アメリカ法の研究、昭和四十五年以来続けられている前述の研究所共同研究「資本主義法と社会主義法の比較法的研究」の中、特にその一部分である共同研究「先進国・社会主義国・開発途上国の国有化政策と法的諸問題」の中には右の傾向の具体化がみられる。これは、かつての英法、独法、仏法という殻の中から外へ出て、ソビエト法、中国法などの研究が比較法の中へ入ってきたのと併せて、比較法研究所の研究の幅が広くなってきていることを示すものであって、大変重要なことである。更に、右に述べられたような新しい傾向の具体化をより進展させるためには、法律学研究者だけではなく、経済学、史学、人類学などの隣接科学の研究者との共同且つ総合的研究が行われなければならないであろう。
このような観点に立ってみると、我々はなお一層の設備の拡充、資料の充実整備に努めなければならないことはいうまでもなく、最も重要であり、かつ大きな困難をともなうことはスタッフの充実、若い研究者の養成であるといえよう。
早稲田大学創立百周年、比較法研究所の四半世紀目に当り、独立の研究所としての特性を一層生かして、着実な発展を遂げていくことを期待したい。
本稿作成のため、昭和五十二年比較法研究所内に「比研史編集委員会」が設置された。構成員は、委員長直川誠蔵、委員、小口彦太、佐藤篤士、杉山晴康、中村吉三郎、西村幸次郎、三木妙子の各研究員である。執筆は当時所長であった矢頭敏也研究員が委員会と協議しながら行った。なお、現所長金沢理研究員は、所長就任後協議に加わった。
(一九八二・七・二六)